無駄なインプットをしないために〜「インプット大全」を読んで

日本一アウトプットを行っている精神科医、樺沢紫苑先生の「学び効率が最大化するインプット大全」が、さる8月1日に発売された。

これまでに「忘れない読書術」、「無駄にならない勉強法」といった、読書や勉強の方法についての本を出版してきた樺沢先生が、40万部以上のベストセラー「アウトプット大全」に引き続いて世に送り出した、学びの効率を最大にするための一切のノウハウが詰まった、まさに「インプットの百科事典」である。

これまでに、先生の著書のほとんどを読んできたファンとしては、読まないわけにはいかない。残念ながら「インプット祭り」と称した出版記念イベントには参加できなかったが、書籍も買ったし、電子書籍もKindleにダウンロードした。

しかし、好きな著者の最新刊だからと言って、「とりあえず読んでみよう」という態度で読んではいけない。冒頭の「インプットの基本法則」で、このような態度は、厳しく戒められる。

インプット、すなわち「読む」、「聞く」、「見る」ことにおいて、脳に情報が入力されていない、つまり、読んだり聞いたり見たりしたことが脳を素通りして、その内容を全く覚えていなければ、それは偽物の「インプット」であると、樺沢先生は言う。

毎日習慣のように目を通してきた新聞やネットニュース、自宅の本棚にならんだ100冊以上の書籍、一度見たきりでダンボールにしまい込んだDVD、今までに何十箇所と訪れた日本や世界の各地。これまでの人生で、読んだり、聞いたり、見たりしたことは、数知れない。

しかし、特に目的もなく新聞やネットニュースを読み、「いつか役にたつかもしれない」と本を買い、読むには読むが、それで終わり。テレビで一度見てそれで十分なはずの番組は、「コレクションだから」「あとでもう一度見たいから」と高価なDVDを買い漁る。一時の刺激と開放感を求めて旅に出たのはいいが、帰ってきても、ブログを書くどころか、写真の整理すらしない。

その挙げ句、いまでも記憶に残っており、ちゃんと話ができることも無くはないが、ほとんどは忘れてしまっている。つまりは、「偽りのインプット」だったわけだ。自分のために大切に取っておかなければいけない記憶は、偽りのインプットを繰り返した末、戻ってくることはない時間と、何百万円ものお金とともに消えてしまった。

もう、このような無駄なことはしたくないと思う。だから、「本物のインプット」を身につけるため「インプット大全」を読むのだ。私は、さらにページをめくる。

「何か学んだり、インプットしたりするときは、必ず「方向性」と「ゴール」を設定してください」と、樺沢先生は説く。

このようなことはいままで考えたこともなかった。

あらゆるインプット、つまり、新聞を読むのにも、本を読むのにも、テレビを見るのにも、旅行に出かけるのにも、最初に「方向性」と「ゴール」を決めてから取り組まなければならず、それをしないことは「いちばんやってはいけないインプット術」であるそうだ。

ただ、「方向性」と「ゴール」を決めるワークは、たった10秒でできるという。

私も、「インプット大全」を読んでいく以上は、この2つを明確に決定しなければならない。

さっそくワークに取り組む。幸いにして、本には「ゴール決定シート」の見本が出ている。書き込むことは4つだけだ。その4つとは「方向性」「キーワード」「期限」「目標」である。

「方向性」は、漢字の意味のとおり、自分の進みたい方向だ。その上で、インプットによって獲得したいモノ・コトを「キーワード」で表現する。私がこの本から得たいものは、時間と金を無駄にしない、本物のインプットのスキルだ。したがって、方向性は「時間と金を無駄にしない」で、キーワードは「本物のスキル」となる。この2つが「何をインプットしたいか」という自分への質問の答えになる。

その上で、「期限」と「目標」を設定する。

期限を決めなければ、何もしない状態がダラダラ続くかもしれない。いつかは役に立つかもしれないが、役に立つ日がいつ来るかはわからない、だから今は何もしない、ということになりかねない。だから、期限を決めることは大切なのだと思う。今回の期限は、8月末日とする。そして、いちばん大事な目標(ゴール)である。インプットの結果、どうなりたいかという成果を明確にするのだ。

「インプット大全」を読んで、時間と金を無題にしない本物のインプットスキルを8月末日までに身に付けて、結局のところどうなりたいか?

「本物のインプットスキルは、いつかは役に立つ。だから、当面の目標はない」では、全く意味がない。だから、私はシートに書き込む。「インプット大全とは別の本を一冊読んで、その内容について、本を参照することなくに他の人に説明できるようになる」と。

インプットを行う際には、かならず「目標設定」を行うこと。

これが、インプット大全を読んで得られた最大の気付きであった。

人生において成功するためにはミッションやビジョンが必要であるように、日々のインプットにおいても、得たい成果、未来のなりたい自分をありありと思い浮かべ、明確にアウトプットしておかなければならない。それができなければ、インプットは無駄に終わる。

人生100年時代が到来しているとはいえ、残りの人生は50年を切ってしまった。

もうこれまでのような、時間と金を浪費するよう偽りのインプットはできないのだ。

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