クイズは、自己成長のための究極の「遊び」である〜「インプット大全」を読んで

行動を変え、現実を変え、自己成長するための本「アウトプット大全」が40万部を超えるベストセラーになっている。

この著者である樺沢紫苑先生がこの夏に世に送り出したシリーズ第2弾が「インプット大全」である。「アウトプット大全」では「インプット→アウトプット→フィードバック」のサイクルを繰り返すことが「自己成長の法則」であるとしている。今回の「インプット大全」には、アウトプットの十分条件である正しいインプットについての知識とスキルがぎっしり詰まっている。

今回の「インプット大全」のサブタイトルは「学び効率が最大化する」であるし、前作の「アウトプット大全」のサブタイトルは「学びを結果に変える」である。いずれにも「学び」という言葉が入っている。だから、「インプット」は学習、すなわち勉強や読書だけだと思って、この本を読むことすら敬遠する人もいるかもしれない。もちろん、インプット大全には記憶に残る読書の方法も載っているし、授業や講義の効率的な聞き方も載っている。

しかし、この本では、美術鑑賞も自然の中の散歩も、果ては「遊び」までが、インプット、すなわち学びにつながるとされている。「遊びも学びである」という考えには最初は驚いたし、遊ぶことも学びにつながるのだと、少し安心もした。

ただ、どんな遊びでも「インプット」というわけではない。

フロー概念の提唱者であるチクセントミハイ教授は、娯楽を「受動的娯楽」と「能動的娯楽」に分けている。樺沢先生は、この両者のうち、集中力と目標設定、スキル向上を必要とする「能動的娯楽」だけが、自己成長につながる有益なインプットであるとしており、単に「楽しかった」「面白かった」で終わる遊びは、インプットとは言えないと切り捨てている。

私はカラオケが好きだが、終わった後に「今日は思いっきり歌えて楽しかった」と思うだけでは、インプットにはならない。

一方、伴奏を集中して聞き、採点機能を活用して、少しでも高得点が出るようできるかぎり正確な音程とリズムで歌うように努め、さらにはビブラートやミックスボイスといった歌唱法の向上も目指す。これらを意識してカラオケをすれば、カラオケも立派な「インプット」ということになる。カラオケがインプット、すなわち自己成長のための学びにつながるというなら、一人でもカラオケボックスに行きたくなるというものだ。]

実は、カラオケ以外にも私には「クイズ」という趣味がある。

]問題を聞いて、答えがわかった瞬間に「ピンポーン」とボタンを押し、一番最初にボタンを押した人だけが答えられるという、テレビのバラエティ番組でもおなじみのゲームである。

私は、残念ながらテレビのクイズ番組には出場したことはないが、学生時代から30年以上、この趣味を続けている(最近はあまり活動していないが)。

バラエティ番組の主役ともなるような娯楽性のあるゲームであるクイズも、「能動的娯楽」の3条件を満たしていることはもちろんのこと、インプット大全に書かれているインプットの基本法則も完全に踏まえていることに、私は気付いた。宣伝になってしまい恐縮だが「楽しみながらインプットをしたい人は、テレビを見ているだけではなく、実際にリアルでクイズをやりましょう!」ということだ。

バラエティのクイズ番組を見ている時、「東大生」でも悩むような問題に答えられれば、すごくうれしいし、番組を見ることも楽しくなってくる。しかし、別にボタンを早く押そうと問題を集中して聞いているわけでもないし、自分の正解数や成績が記録に残すわけでもないし、来週の番組を楽しむために努力をしようとも思わない。これでは、ただの「受動的娯楽」である。

しかし、リアルでクイズを楽しめば、インプットの基本原則を満たした「能動的娯楽」に変わる。

まず、問題を聞いて、答えがわかったらボタンを押す。これは、インプット大全に書かれている基本法則3「インプットとアウトプットは表裏一体」に当てはまる。インプットとアウトプットは同時進行で行われているという意味である。

本では、テニスの試合を例に挙げているが、クイズでも全く同じことが言える。問題を全部聞いてから、それからじっくり考えて、ようやく答えがわかり、それからボタンを押していては、到底間に合わない。問題を聞きながら、どのようなアウトプットをすべきかを同時に考えている。そして、1000分の1秒のボタンが押される時間の差が、勝敗を分ける。まさにインプットとアウトプットの同時進行・並列処理である。

問題を聞くときも、漫然と聞くことはできない。聞いた問題は確実に脳内にとどめ、そして正解というアウトプットのための言語情報を引き出さなければならない。これは、インプットの基本法則1「なんとなく読む、聞く、見るのはNG」にあたる。

そして、問題を聞く際には、単語の意味はもちろんのこと、助詞の使い分け、果ては問題が読み上げあられる抑揚やスピードまでにも注意を払わなければならず、これらの非言語的情報も勝敗を決する重要な要素である。(なお、非言語的情報の重要性については、インプット大全の「12 生で聞く」に書かれている。)

クイズというゲームは、単に答えるだけではない。囲碁や将棋、数々のボードゲームでは、ゲームを楽しむ相手や仲間がいて、盤やコマなどの用具があれば、それだけで楽しめる。しかし、クイズは問題に答えるゲームであるから、どうしても相手に答えてもらうために問題を用意しなければならない。その問題を自分で用意するということが、インプットであり、アウトプットでもある。

インプットの基本法則2には「インプットと目標設定はセットで」とある。

インプットするためには、必ず「方向性」とゴールを決めなければいけない。方向性とは何をインプットするかであり、ゴールとは、どのようなアウトプットをしたいか、インプットの結果どうなりたいか、ということである。

この基本法則2を、「問題を自分で用意する」ということに当てはめる。まず、方向性を決めるということは、どのような問題を作りたいかを決めるということである。知識中心のアカデミックな問題にしたいのか、時事や芸能中心のライトな問題にしたいのか、答えてくれる人は何に興味があるのか、どんな問題を出せば楽しんでもらえるのか、そういうコンセプトを考えるのが、方向性を決めるということである。

一方、ゴールを決めるというのは、期限及び目標の設定である。次回のクイズ会が来月末にあり、参加者は10人ぐらいだから、それまでに問題を100問用意しなければならないということを明確にするのが、ゴールを決めるということである。

以上3つのインプットの基本法則の他に、インプット大全を貫く重要な考え方がある。それが「アウトプット前提のインプット」略して「AZ」である。

つまりは、「アウトプットなくしてインプットなし」、アウトプットにつながらないインプットはインプットとは言えないということであるが、これはクイズにおいても当てはまる。

クイズは能動的娯楽であり、能動的娯楽には、目標設定とスキル向上が必要であるというのは先に述べた。

「次の会では3問以上答えたい」「次のクイズ大会では優勝したい」などと考えることが目標設定であり、そのためには、本を読み、新聞を読み、ネットから情報を収集し、テレビを見て、話題の映画も見て、ヒット曲もチェックして、というあらゆるインプットを行い、問題に答えられるだけのスキルを磨かなければいけない。

そして、すべてのインプットは「問題に答え る」、さらには「勝負に勝つ」という、アウトプットを前提として行われる。

また、クイズを楽しむためには自分で問題を用意しなければいかないとも書いたが、そのためには、読書から知識を得て、ネット等で情報を収集するというインプットを行わなければならない。

そして、問題を用意するということは、知識や情報をベースにして100字程度の短い文章を書くという、アウトプット行為に他ならない。つまりは、問題を用意するということも「アウトプットを前提としたインプット」と言える。

以上、遊ぶことが自己成長につながるインプットにはなるが、そのためには「能動的娯楽」の3条件(集中力、目標設定、スキル向上)を満たさなければならず、それを満たす遊びが、カラオケであり、クイズであるということを書いてきた。

特に、クイズは「能動的娯楽」であるだけでなく、インプット大全に書かれている3つの基本法則に従っており、さらには「アウトプット前提のインプット」というコンセプトにも沿っている、究極のゲームであると私は考える。

すでにクイズを楽しんでいる方には、インプット大全をぜひ手に取れば、我々の趣味が、自己成長を促す、人生にとってたいへん素晴らしいものであるということをを再認識していただけるはずである。

反対に、インプット大全をすでに読まれれた方で、クイズをリアルで楽しんだことのない方には、ぜひ一度プレイしていただければ、クイズが「能動的娯楽」であり、学びにもつながるということを実感していただけるものと考える。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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