ベストセラー「アウトプット大全」で知られる精神科医の樺沢紫苑先生が、9月1日に最新刊「ブレインメンタル強化大全」を出版しました。自分史上最高のパフォーマンスを手に入れるための知識とスキルが100項目にまとめられた「健康戦略事典」です。
健康について書かれた本なのにタイトルに「ブレイン」つまり、脳という言葉が入っているのは最初は不思議に思いました。健康には「こころ」と「からだ」の両面があって、「こころの健康」という意味で「メンタル」という言葉が付いているのはすぐに分かりました。では「ブレイン」と「からだの健康」がどう繋がるのでしょうか。
その答えは、本書の中にしっかり書いてあります。引用させていただきますと、
「脳 」というのは 、人間の 「司令塔 」ですから 、 「司令塔 」にいい習慣は 、当然 、全身の臓器にもいい 。 「司令塔 」に悪い習慣は 、当然 、全身の臓器にも悪い影響を与えます 。(231ページより)
脳にいいことをすれば、それが全身の臓器に行き渡り、健康になるというわけです。タイトルに「ブレイン」が入っているのも納得しました。
では、健康になるため、さらに最高のパフォーマンスを手に入れるために、何をしたらいいのか。これはとてもシンプルです。要は、次の6つの生活習慣を改善または実行すればいいのです。
- 睡眠
- 運動
- 食事
- 禁煙
- 節酒
- ストレス解消
そのための知識・スキルが科学的根拠に基づいて書かれているが、この本というわけです。
ところで、私の目下の悩みは、十分な睡眠が確保できていないということです。
睡眠を改善したい、しっかりと眠ってスッキリとした朝を迎えたい、と常々思っていましたが、この本を読むと、睡眠を改善しようとすれば、睡眠に関する知識・スキルを身につけて実行するだけでは足らないということに気付きます。
朝と日中にしっかり運動して、夕食の時間に気をつけ、タバコは絶対に吸わず、寝酒もやめて、日中のストレス解消に努めてからリラックスして眠る。
これらが全部できれば睡眠がしっかり改善されるということなのですが、ちゃんと実行するにはそれなりの気構えと努力が必要となってきそうです。
それでも、睡眠の改善は実行しなければならないのです。
なぜなら睡眠不足のデメリットが、この本にハッキリと書かれているからです。
- 睡眠不足は、命を削ります。最悪、40代、50代で突然死の可能性もあります。
- 仕事のパフォーマンスが著しく低下します。8時間で終わる仕事は9時間かけなければ終わらなくなり、ミスの可能性が20%も増えます。
- 食欲が暴走し、4倍太ります。睡眠時間が6時間以下になるとご飯一膳分の摂取カロリーが余分に増えます。
- 脳に老廃物がたまり、認知症の発症リスクが4〜5倍増えます。
逆に睡眠時間を1時間増やすだけで、脳の機能が改善されて、仕事のパフォーマンスが上がります。毎日残業しないで帰宅できれば、その分を睡眠時間に充てられ、さらにパフォーマンスが上がる。まさに最強の時間術です。
ここまで書かれれば、もうヤルしかありません。
振り返ってみると、今までの私は、特に何も考えず、疲れ果てて仕事から帰ってきたら、そのままバタンキューという睡眠スタイルを取り続けてきました。
家に着いたら寝室に直行し、ひどい時には入浴もせず、部屋の灯も消さずにベッドに倒れ込む。ちょっと余裕がある時にはタブレットで動画を見ながら眠りこけ、気がついたら夜中の2時になっていて、当然二度寝。
そして、毎日朝6時になったら否が応でもベッドから抜け出て、軽くシャワーを浴びて、朝食だけはしっかりとって、7時前には出勤するという生活を何十年も繰り返してきました。
これでは十分な睡眠が確保できないのも当然です。
そこで、デメリットに陥ることのないように睡眠改善のプランを立てることにするのですが、睡眠プランナー(そういう職業があるのかは知りませんが)に相談してしなくても、プランニング方法がこの本にはちゃんと書かれていますので、それをしっかり実行すれば良いのです。
- 寝る2時間前からは、ブルーライトを浴びない。つまり、テレビも見ず、パソコンやスマホも操作せず、部屋の明かりは昼白色蛍光灯から電球色に取り替える。蛍光灯の光を浴びないということは、電車に乗っていてもいけないということので、必然的に寝る2時間前には帰宅している必要がある。
- 夕食は寝る2時間前に済ませる。寝酒もしない。
- 必ず寝る2時間前に入浴を済ませ、入浴後はリラックスして過ごす。具体的には、読書や音楽鑑賞、家族とのコミュニケーション、マッサージ、瞑想など、興奮を伴わないことを行う。日記を書くことも良い。
- 朝起きたら、15分程度の朝散歩を行う。これによって、体内時計がリセットされ、睡眠物質メラトニンを作り出すセロトニンを活性化させる。
- 日中は、20分以上の中強度の運動を行う。心拍数が毎分120拍程度になるようなウォーキングが一番手頃。あわせて筋トレも行うのが良い。
- 日々の睡眠状況はスマホのアプリを活用して記録する。その際、当日の行動も合わせて記録すること。それにより、寝る前までの行動とその日の夜の睡眠の質との因果関係がつかめる。
以上のことを、タイムスケジュールに落とし込んで、日々のルーティンとすることにしました。
出勤の関係上、朝6時までには必ず起きなければいけないので、ベターとされる7時間睡眠を確保するためには、23時には就寝することになります。このことも踏まえたタイムスケジュールを作ってみたら、次のようになりました。
- 遅くても20:30までには帰宅。夕食はほぼ毎日外食なので、途中で食べて帰る。
- 20:30〜21:00 入浴
- 21:00〜22:00 リラックスタイム(音楽鑑賞、読書、マッサージ等)
- 22:00〜22:30 マインドフルネス
- 22:30〜22:35 スマホで日記を書く(良いことを3項目、音声入力を活用し極力画面は見ない)
- 22:35 部屋の灯りを消して、ベッドサイドの読書灯だけにする
- 23:00 完全消灯。睡眠状況記録のためウェアラブルウォッチを装着して寝る。
- 6:00 起床 朝の気分をスマホに記録。
- 6:05〜6:10 筋トレ(スクワットまたは四股踏み)
- 6:10〜6:30 朝散歩(天候不良等で困難な場合はラジオ体操)
- 6;30〜7:00 朝食、排便等
- 7:00 出勤
- 最寄り駅までの往復や乗り換え時の歩行は、心拍数が毎分120拍以上となるようにする。
実際にはこの通りにきっちり行動するのは難しいのですが、ひとまず9月10日頃から可能な範囲で取り組みを始めています。
まだ1か月も経っていないので具体的な変化を書くことはできないのですが、ウエアラブルウォッチから取得したデータによると、中途覚醒は1、2回はあるものの、6時間ないし7時間の睡眠が確保できるようになってきました。一時期は4、5時間しか眠れないこともあったので、そこからはかなり良くなっていると思います。
また、1万以上歩いた日は、「深い睡眠」を記録した時間が睡眠時間全体の20%以上となっているとか、飲酒した日の夜は、夜通し心拍数が高くなっており、そのせいなのか睡眠が浅くなってしまっているとか、そのようなこともわかってきました。(ウェアラブルウオッチでは、歩数、消費カロリー、心拍数などが随時記録されています)
ただ、このプランニングにも一つ問題があります。
朝散歩で体内時計をリセットするのが6時前後なので、眠気がやってくるのがリセットから約15時間後の21時頃になってしまうのです(159ページ参照)。
さて、これから寝るためのリラックスタイムだという時に、そのまま寝てしまい、気づいた時には夜中の1時だったということが実際に何回ありました。
かと言って、就寝時刻の23時の15時間前にあたる午前8時には、すでに職場に着いて業務開始の準備をしていますので、朝散歩や朝ラジオ体操というわけにもいきません。このことにどう折り合いをつけていくかは今後の課題となるでしょう。
これまで、「ブレインメンタル強化大全」を読んだ上での、睡眠の改善プランニングについて主に書いてきましたが、この本の中で樺沢先生が「効果を信じて継続すること」とおっしゃっているように(237ページ参照)、ハッキリとした効果が表れなくても、焦らず諦めず信じてプランを実行し続けるしかありません。それが睡眠を改善し、健康へとつながる唯一の道なのです。
最後に継続の決意を込めて、私の好きな論語の一章で感想を締めさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「子曰、譬如爲山、未成一簣、止吾止也、譬如平地、雖覆一簣、 進吾往也」
論語巻第五子罕第九より
(訳)孔子先生はおっしゃいました。たとえば山を作る時に、あとスコップ一杯というところをで完成しないのは、自分でやめてしまったからです。例えば土地をならす時に、わずかスコップ一杯だけ土を入れただけであっても、それは自分で前に進んだことになるのです。つまりは、例えあなたの歩みが遅くても、自分でやめない限りは、いつかは必ず完成するものです。(だから最後まで頑張りましょう!)